作品ラクガキ置き場 > その他 貰い物 その1

ハイランド黄門


オープニング

人生楽ありゃ雲あるさ♪(大間違い)
以下略。


今日もハイランド黄門ルカ様ご一行は、妹夫婦の治める国を、悪を懲らしめるという名目(←重要)で、東へ西へと旅しています。

本日はルカ様、サジャの村にご到着です。


ナッシュ「ご隠居~!」
ルカ「その呼び方はやめろうっかりナシ兵衛。一気に年食った気分だ。」
ナッシュ「こういう設定なんだから我慢してくださいよ。それより、こちらでは『紋章まんじゅう』が名物らしいですよ。ほら!まんじゅうに紋章の焼印が。美味しいですよ、まんじゅうの味がします。

ルカ「要するに他に説明のしようがない位味に特徴がないのだな?そもそも、紋章とまんじゅうが合体する意味はなんなんだ。コンセプトが見えん。
クルガン「ご隠居。こういうあまり特徴のない所は、こじつけてでも名物を作らないと観光客が呼べないのですよ。」
シード「生々しい話すんなよクルガン…じゃなかった、『クルさん』。」
クルガン「クルガンでいい!!」
シード「てめえだけまともに呼ばれようったってそうはいかねえぞ!!俺なんか『シーさん』だぞ、『シーさん』!」
ナッシュ「………………。ま、まあとにかく行ってみましょうか。あそこに宿屋がありますから。」

ご一行の前には確かに宿屋の看板がある。

『星見』

「「「「…………………………………………。」」」」

ルカ「俺は帰る。」

レックナート「そうは行きませんよ。こちらは困っているのです。ご隠居は嫌でも困っている人を助けなければならない決まりです。これは運命です。
ルカ「やっぱり貴様か!!帰るといったら帰るぞ、こいつに関わるとロクなことが無い!」
レックナート「正義の味方の分際で、助ける相手を選べると思っているのですか、あなたは。
ルカ「余計助ける気が失せたわ。大体俺は正義の味方なんぞしてない!」

レックナートは首を傾げた。

貴方の通った後は町がすっかり平和になるともっぱらの噂ですよ?そもそも世直しの旅をしているのではないのですか。」

ルカ「そんなもん建前だ。俺の求めているものは戦乱だ!平和なんぞくそくらえだ!!」
クルガン「そうやってあなたが手当たりしだいに盗賊やら悪代官やらを壊滅させていくから、世の中すっかり平和になっているのですよ、ご隠居…。」
シード「最近じゃあ、俺たちの顔見ても向こうの方で逃げ出して行っちまうもんなぁ。喧嘩にもなりゃしねえ。」

レックナート「……これくらい目的と結果がかけ離れている人もめずらしいんじゃないでしょうか。まあ、私としては助けていただければ何でもいいですから、とりあえずこちらにいらして下さい。仕方がないから宿代はツケにしてあげましょう。」
ルカ「タダにはしないあたりが貴様らしいな。
シード「まあいいじゃないですか、ご隠居。喧嘩が出来そうですよ!」
クルガン「お前にとって重要なのはそこなのだな。」
ナッシュ「それじゃ、行ってみましょうか。」


一行が宿に入ると、一人の娘が出迎えた。

「いらっしゃいませ。『星見』へようこそ。」
ルカ「う…む!?」
「…あ、あの……どうも……。」

クルガン「…………ご隠居。どうなさいました。」
シード「顔が真っ赤ですよ。」

レックナート「あらあら、も顔が真っ赤ですね。2人とも熱でもあるのではないですか?
ナッシュ「この状況ではものすごく白々しい台詞ですな。」
レックナート「『暴れん坊ご隠居に遅い春到来』と言った所ですか。丁度いいですね。実は困っているのはその子なのです。」
ルカ「待て!!俺はやるとはいってな…!!」

レックナートはぴしりと言い切った。

レックナート「諦めなさい。ここで素直にならなかったら、この先堅気に戻るチャンスは二度ときませんよ。もういい年なんですから。
ルカ「余計なお世話だ」
シード「まあいいじゃないですか、ご隠居。『盛り上がった船』っていうでしょう。」
クルガン「それを言うなら『乗りかかった船』だろう。自分チックにアレンジするな。
「あの、でも、ご迷惑でしたら無理にとは…。私、頑張りますから。」

皆の視線が、に集まった。可憐な少女が、困っているのは自分だと言うのに、皆を気遣って気丈に笑顔を浮かべているのである。
こいつぁまいった。

ナッシュ「…ここで断わったら、外道ですよ。ご隠居。」
シード「そうですよ。人の道は外れても、男の道は外れないのが俺たちの信条でしょう。」
ルカ「いつ決まったのだそんな信条…。
クルガン「信条はとにかく、私もここで彼女を見捨てるのは賛成できません。」

ルカは苦虫を噛み潰したような顔で言った。
「…分かった。今度だけだぞ。」


部屋に入ってから、皆は改めて続きを話すことになった。

ルカ「それで、一体どうしたというのだ?」
レックナート「実は近頃この辺りで寝玄人(ネクロード)とかいう吸血鬼がハバをきかせてまして。それがとんでもない女好きなのです。」
シード「名前からしてそれっぽいよな。」
レックナート「彼はどうもこのがすっかり気に入ってしまって、が花嫁にならないならこの宿を潰してのっとるなどと言っているのです。でも、その気になれば彼は本当にこの宿を潰してしまうでしょう。」
クルガン「なるほど…。そうしたら、あなた方は路頭に迷うことになりますね。」
レックナート「そうなのです。…あ、ほら来ましたよ。」

ぴんぽーん

ルカ「………礼儀正しいではないか。」
レックナート「はいはい。少々お待ちくださいね!」
シード「あんたもいそいそ出てんじゃねえよ。」

しばらくすると、レックナートに案内されて、その男、寝玄人が部屋に入ってきた。
は、ルカの背に庇われながらも、気丈に寝玄人を睨みつける。

ネクロード「さあ、今日こそいい返事を聞かせてもらいますよ、さん。あなたを私の78番目の花嫁にしてあげましょう。」
絶対嫌です。」

シード「プロポーズとしては最低だな。」
ナッシュ「…『浮気を隠せない旦那』と解釈すれば、かわいいと言えないことも無いですけど、顔があれじゃあちょっと許せませんね。」
クルガン「顔がどうとか言う問題ではないぞナナ兵衛。そもそもハイランドは一夫多妻制は認められておらん。
ルカがギロリとネクロードに鋭い視線を向けた。

「そういうわけだ。今なら無傷で帰してやる。は諦めろ。」

ネクロード「おやおや、私にそんな口を聞いていいのかな?みなの者、であえ!!であえー!!

お決まりの掛け声に呼応して出てきたのは、侍でもなく、チンピラでもなく、ゾンビの群れであった。

シード「うぁあ気持ちワリィ……。」
クルガン「というか、このゾンビ、人の死体がないと出来ませんよ。まさかとは思いますが…。」

ネクロード「よく気付きましたね。そうです、このゾンビは全てこの町の住人ですよ。そこの墓場から借りてきました。
一同「「「「あ、そっちか。」」」」

「仏を弄ぶなんて、なんてことするの!!」
ナッシュ「まともな感性の人が一人いると、何だか救われますね…。」
ネクロード「あなたが悪いのですよ。素直に私の花嫁にならないから。この上ごねるようなら今度は村人を殺してゾンビにします。さあ、犠牲を増やしたくなかったら、私の花嫁になりなさい。」
シード「ちっ…キタネエやろうだぜ…!」

は、唇を噛んでいたが、一歩一歩ネクロードに近付いていった。
と、突然、グイと後ろに引き戻された。

振り返ると、ルカがの手首をしっかりと掴んでいる。

「離して下さいご隠居様!私が行けば全てが解決するんです!」
ルカ「いいや、解決しない。お前がヤツの花嫁になった所で、ゾンビが元に戻る訳ではあるまい。」
「そ、それは…でもこのままでは皆さんも…。」
ルカ「世直しなんぞ興味はないが、国中ゾンビだらけになったら見苦しすぎて困る。そういうわけだ、クルさん、シーさん、あれをやるぞ!!

シード「うおっしゃあ!待ってましたぁ!!」
クルガン「……やるんですか、あれを…………。」

ナッシュ「あ、やるんですね。それじゃさん。危ないですからちょっとこっちに避難しときましょうね。」
「??は、はい。」

どこからか流れるテーマソング。

チャラチャッチャチャラ~
あーかねーのそらにー♪
(知ってる人は歌ってください(笑)

ネクロード「な、なんだこのマイナーなテーマソングは!!」

ルカ「クルさん、力たすきだ!!」
クルガン「これさえあれば百人力!!出でよ、クル岩!!

どこからか出て来た巨大な岩をクルガンがネクロードに投げつけた。ネクロードは、完全に動きを封じられる。

ネクロード「うわああああーー!!」

そこにすかさず、シードの剣が繰り出される。

シード「流星十文字切りいいぃいぃ!!

ネクロード「ぎゃああああーー!!」

とどめとばかりに、ルカが印籠を掲げた。
ルカ「ええい、この紋所が目に入らぬかぁぁあ!!」

ネクロードの目の前で、燦然と輝く印籠に刻まれているのは、ハイランドに代々伝わる『獣の紋所』であった。(特殊効果:戦意喪失)

ネクロードはすっかり満身創痍である。ゼイゼイと肩で息をしながらフラフラと立ち上がった。
ネクロード「や、やるに事欠いて『マンガ水○黄門』ネタを出してくるとは…。知らない読者の方が多いであろうに、愚か者め。」
ルカ「あまいな。先日『ト○ビアの泉』で紹介されたばかりなのだ。」
ネクロード「なにぃ!?!?!?…ま………負けた…。

負けたのかネクロード。
どちらかといえば「嫌になった」の方が正しいであろうが、とにもかくにも彼は村人を元に戻し、サジャから去っていった。二度とを狙わないことを約束して。


「あ、ありがとうございます。ご隠居様…。」
ルカ「…別に、お前を助けた訳ではない。」
「でも、私は助かりました。ありがとうございます。」
ルカ「…………フン……。」
「行ってしまわれるのですか?」
ルカ「…………俺は旅の途中だ……。」

の瞳が、寂しそうに揺れた。

レックナート「……お取り込みのところ悪いんですが。」
ルカ「だから突然現れるなと言っているんだ、お前は!!」
レックナート「誰がこの宿の修理費を払ってくれるんですか?」
ルカ「なに?」

一同が辺りを見回すと、確かに宿の中はメチャクチャである。
部屋の中に岩は転がっているし、床には十字の穴が開いているし、食器は割れ放題、畳の上はゾンビの落としていった土くれだらけ。
ここを修繕もせずに宿として使うのはちょっと無理がある。

シード「…………そういや、ここ部屋の中だったんだな。」
クルガン「ううむ、ネクロードではなく我々が宿を潰してしまったな…………。」

レックナート「ええ、しかも物理的に。まさかこのまま去っていくつもりではないでしょうね。そんなことしたら、訴えますよ。」

ルカ「俺にどうしろというのだ!!」
レックナート「あなたには修理費の分、家に住み込みで働いてもらいます。ご心配なく。部屋と食事は用意します。ついでにご隠居には嫁もつけましょう。」
ルカ「ついででつけるもんじゃないだろう。当人の意思を無視するな!!」
「ご隠居さえ良ければ、私、喜んでお嫁になりますわ!」
ルカ「!!!!!!」
シード「世直し旅は俺たちに任せてください!」
クルガン「時々こちらにも寄らせていただきますよ。」
ナッシュ「お土産は各地の特産品にします。」

レックナート「……ということです。…まさか断わりませんよね?」
ルカ「こ…断わ…」

当然断わるはずもなく。


『星見』は新たな旦那と女将の手で、それはそれは立派な宿屋になったとのこと。

八方丸く収まり大団円。

続きは(あるのか?)次週のお楽しみ。


幕だ、幕。

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ルカ様サイト”狂想曲”のキリリクで杣亮さん書いてもらいました!

母が「キリリクを踏んだよ~!!」と喜んでいた事は私も知っていたのですが、まさか水○黄門を頼んでいたとは…(汗)
驚きながらいざ!母と『ハイランド黄門』を見て笑いました☆
本当にありがとうございました!!

(杣亮さんのサイトは閉鎖しております)

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